■紹介その3 |
「それでは,最後?の選手の紹介です.チーム,ナイト(騎士)マサのFennelさんです」 ANIKIの司会の元,最後?の面子の紹介が終わる. それを遡ること数日前・・・ ANIKIは会場裏でFennelと会話をしていた. 「おや?貴女はFennelさん.私に何か用ですかな?」 「ったく,まだ判らない様だな,ANIKI.いや,アベンジャーANIKIよ」 「・・・何故その呼び名をっ!!!」 「俺のチーム名見ても気付かないとは情けないヤツだ・・・」 「・・・内藤マサってなってますけど・・・内藤,ないとう,ナイトウ,ナイト・・・ま,まさか!?」 「ちょっとまて,何故に内藤?」 「いや,ここにそう書いてあるから・・・」 ANIKIが端末を見せるとFennelの顔は見る見る引きつっていった. 「なんじゃこりゃ~!!!俺はナイトで登録したはずなのに・・・」 「まさか,お主,イメシステムを使用したのではあるまいな?」 ANIKIが恐る恐る聞く. 「・・・ああ,時間がなかったからな」 Fennelがそう答える. 「愚か者っ,窓屋MSイメシステムの怖さを知らないとは言わせないぞっ」 ANIKIがそう言うのも無理はない. イメシステムとは,この時代において個人のシステムをサポートしてくれるソフトウェアである. 正式名称をMS-IMESYSTEM(窓屋ソフト-いけてるめっちゃええやんシステム)と言う. 事実上,デファクトスタンダード(業界標準)となるまでに普及しており,パイオニア2の民間汎用システムとして一番広く使われているのである. ただし,普及している物が使いやすいと言うわけでもなく,問題点を指摘する声も多かった. 他にもリンクスシステムや,オラトリオシステム,ユニークシステム,ジャストシステム(笑)等,色々あり,個人の趣向によって選ばれていた. 「しかし,以上から結論を導くにお主はMasa(まさ:ヒューマー)なのか?」 「以上も以下もなく,そう判ろうものだが」 この2人,窮地もとい旧知の間柄で,昔は良く遊んだ悪友同士だったのだ. ナイトMasaと,アベANIKIの名はそれなりに,極々一部の間では,かすかに思い出せる程度の知名度であった. 「だが,俺の知っているMasaは,そんなぷりちーな格好はしていなかったが・・・」 「これには訳があってだな・・・」 「そうか,俺たちの友情も遂に極まれりっ!!ラブッ!!カモーンマイハニー!!!」 ANIKIは脱兎のごとく駆け寄りFennelをベアハッグ,じゃなくて抱きしめた. 「のわっ,や,やめい,この変態がっ!!話を聞け・・・ぶ,ぶえくしゅん!!!」 ANIKIの髪の毛が顔に当たりおもわずくしゃみをするFennelいや,Masa?どっちで呼べば良いのだろうか? 「・・・い,嫌ぁ~!!!」 「へ?おぐはぁ!!」 急に可愛い声に変わったと思うと,ANIKIは強烈な平手を喰らっていた. 「にゃ,にゃにをするですか?マイフレンド」 ANIKIはろれつが回っていない様である. 「あ,あなたこそ,いきなり人に抱きついて,ど,どういうつもりなんですかっ」 さっきとは別人のFennel. 普通の女の子してます. 「それにここは一体何処なんでしょう・・・」 Fennelはおどおどして辺りを見回します. 「あのー」 状況が把握できないANIKI. 「あ・・・くちゅんっ」 くしゃみは1度で終わらないことが多いですが,2度目のくしゃみをするFennel. 「だー.全く非道い目に遭った・・・」 「・・・ホントにMasaなのか?」 本能と言える学習機能が働いて,警戒を強めるANIKI. 恐る恐る,周りを旋回している. 「ああ,実は訳ありで,今は2重人格状態なんだよ.どうやらくしゃみか眠るかで入れ替わることが多い様だ」 「漫画みたい・・・」 「・・・それを言うなって・・・.これで水被ることまで追加された日にはもう・・・」 思わず溜息をつく2人. 「・・・で,一体どういうことだよ?それに,その身体誰?」 ANIKIがFennelに問う. 「さっきの人格がこの身体本来の物だ.で,名前はFennel.それは間違いない.俺の精神が居候してる形だ.」 「で,Fennelって誰?」 「・・・皆まで言わせるな.・・・まあそういうことだ」 1人で照れるMasa. 「・・・全然判らんのだが・・・」 理解できないANIKI. 「・・・まぁどうしてもと言うなら,お前にだけは教えてやらなくもないが・・・」 どうも語りたい様である.やれやれ. 「あー智ちゃん?今夜どう?え?俺じゃ駄目?そんなつれないなぁ~」 ANIKIはどういう経緯が判らないが携帯で話をしている. 「人の話を聞けっ!!」 Fennelのゾンデが発動,ぷすぷす状態のANIKI. どうも,この両者に限らず,登場人物は自分中心に世界が回る連中ばっかりの様だ. そこがこの世界観を構築している原因といえばそうなのであるが. 「それより,どうして,その状態に?」 いきなり会話が元に戻る,こっちのフォローも考えて欲しい物だ. 「ID一緒だからやむを得な・・・ぐはっ」 天井からタライが落ちてきてFennelに命中. どうやら矯正力が働いた様である. 近頃,世界観を崩壊しかねない不穏当な発言が多いため,発動された様子. くわばらくわばら・・・ 「兎に角,元に戻るためにも大会にでないといけないんだ」 「さっぱり理解不能だが,俺も応援するぞ.だが,その格好でも俺は構わないぞ・・・」 頬を赤らめて,やや斜め向きの視線ビームを送るANIKI. 移動しても追跡するので,思わず血の気が引くFennel. 何が何でも元に戻る必要性を再確認した様である. ・・・回想終わり. (後は頑張れよ.俺はどっちでも良いけど・・・) 紹介が終わり,ANIKIはFennelを見た. 今はMasaモードだから大丈夫だろう. 「ではここでCMです」 番組は進行する. 始まってしまえばもう戻れない. このイベント自体,何か運命の様な物を感じつつ次回へと続く・・・ -終- <次回予告> |