ファンタシースターオンライン 攻略

■劇戦激戦大熱戦
「う,嘘!?・・・」
「ん?どうかしたのかい?」
 伊吹の声に7thが反応する.
今,伊吹の手元にはアトラクションでやる寸劇の台本があった.
「あ・・・えと,何でもないです.あ,あははは・・・・ちょ,ちょっとお手洗い行って来ます」
「まだ時間はあるから大丈夫」
 Zai-onがそう言うのを背後にしつつ,伊吹は足早にその場から離れた.

「ちょ,ちょっとアレどういうことなの?」
「と言いますと?悪の手先から町内の平和を守る正義の女子中学生扮する魔法少女の役を貴女がすることですか?」
「い,いや,そこじゃなくて・・・」
「では,一体いつになったら元の世界に戻れるのかってこと忘れて,どうしてこのキャラはのんびりしてるんだという事を一部の読者が想像してるんじゃないだろうかと言うことですか?」
「・・・教授.わざとやってるでしょ・・・」
 伊吹が嘆息するのを見て,アソビン教授と呼ばれたサポートAIはおもむろに向き直った.
「ようするに,何故,その主役の子がIBUKIという名前かと言うことでしょう?」
「そうなのよ.偶然にしてもできすぎじゃない?」
「いいえ,全くもって自然です」
「どうして?」
「いえ,それを口にすると我々の身に危険が及ぶ事が,ここしばらくのデータ収集にて判明していますので,やめておきましょう」
「あ,そう・・・」
 伊吹も,何処から現れたか判らない頭上からの物体に直撃される姿を数回目撃したのであえて追求るすのはやめた.

 時は今,所は奈良・・・ではなく元の場所.
「にしても,あの子伊吹って名前なんだね,役になりきってるなんて凄いね」
 Zai-onがお茶をすすりながら言う.ていうか,お主ロボでは!?
「Zai・・・お前とぼけてるな?本名だってことはさっき聞いただろうに」
「いやいや,俺は一寸真面目だよ.俺のデータバンクにもあるしね,一日一膳て」
「そりを言うなら一日一善だろ・・そうだとしてもさっぱり理解不能なんだけど・・・」
「7ちゃんのいけず~」
「ええい,戯れ言はやめんか~」
 7thの蹴りがZai-onに直撃・・・かと思えば,寸での所で頭をスライドさせて避けるZai-on.
頭だけスライドしている所が怖い・・・ロボならではの避け方だ.
だが,それは7thも知っている.不敵な笑みを浮かべて7thは蹴り足を戻そうとせずに,横に薙ぐ.
普通なら勢いをそがれた足で薙いだ所で威力などないのであるが,7thは最初からそのつもりだったらしく,最初の蹴り以上の速度があった.
「フェイントなんてずるいよ・・・でも俺の勝ちだよ」
 ずれた顔で喋るなあ・・・
「にょっ!!」
 奇声をあげてよろける7th.それもそのはず,当たると思われた足は空を切ったのだから・・・
Zai-onは究極回避,「頭だけ分離しちゃったよ,てへ」を行ったのだ.
これは長時間行うとボディとの連絡が途絶えて,頭だけが残る,いわゆるサイモン教授と化してしまう所危険がある恐ろしい技であった.
「ヘッドオン!!」
 Zai-onはボディと無事合体した・・なんか違うよ・・・
「わ・・・凄いんだね・・・」
 丁度帰ってきた伊吹がそれを見て言う.
「いやぁ,なんなら手足でもできるよ?」
 この後しばらく,Zai-onは調子にのって身体を分離させまくることとなった.
「ふっ,子供の人気を取るのが上手いぜ,Zai・・・でも次は負けないぞっ!!!」
 どうやら,みんな目的が分単位で変わる様で・・・だが,机の上においてある携帯の電源が切れていることに気がつくのは,出番が終わってからのことであった・・・

「今日は,悪いけど私達が目立つわよ」
「そうそう,ていうか,2人まとめて扱われている現状からして,すでに結果は見えてい・・はわっ」
 YUKIに矯正力が炸裂.
ここぞとばかりにMachildaが飛び出す.
「IXY.ちょっとくらい人気があるからって~.独立するなんて私が先にやろうと思ってたことを~」
 それは逆恨みって言わない?
「どうぞ,今からでも独立してはどうですか?」
 ぴたりと止まるMachilda.
「そか,そうよね・・・」
「わ,私も・・・」
 よろろと立ち上がったYUKIも言う.
「てことで,Thitose.あんたに恨みはないけど,これも私のため.今を持って私は独立するう~」
「わ,私も・・・」
「あ,そう・・・」
 私もここまできたら既に覚悟はできている.
「お~っと,ここで個人チームに独立だぁ~!!!これだから見逃せないっ.女性ばかりのバトルロイヤルは一体誰が制するのかっ!!!」
 ANIKIが萌え萌えで解説している.
こら,あんた見ている先が固定してるって・・・
まあ,ANIKIだけではないのだが,観客の大半はIXYに視線が集中していた.
 何故?理由は至極簡単.スリットのせいだ.
別にそこまできわどい物ではないのだが,普段清楚に見える人がそういう事してるってことと,見えそうで見えないのが余計に煽っている様である.やれやれ.
私なんて生脚なんだぞっ!!
誰も見てないし・・・
「うりゃ~,喰らえ必殺,リストラバスター!!」
「負けないもん,いっけぇー,出稼ぎクラーッシュ!!」
 2人の攻撃をひょいひょいと避ける私とIXY.
「「むぅ,やるなお主・・・」」
「・・・まだ続けますか?」
「くっ」
 IXYのプレッシャーに押され,いきなりこちらに身体を向けるMachilda.
「て,なんで私なのよ~」
 YUKIとMachildaがいきなり私にタッグで向かってきた.
「暴落スライサー!!」
「先物ソードっ!!」
 なんとも言えないネーミングセンスの武器を取り出す2人.
「「今一度の共同技っ,喰らえ天誅.ブラックマンデーアターック!!」」
「やれやれ・・・,今楽にしてあげるよ・・・」
 私は左手のアトリビュートウォルを最小展開(ピンポイント)して,地面に突き刺した.
「破っ!!」
 2人が突っ込んで来るのに合わせて最大展開した.
地面が隆起し,大量の土砂が空中に飛び散る.ウォール・オブ・アースとでも言った所か?
「わ!!こ,こら,私を踏み台にしないでって」
 壁に阻まれて止まったMachildaを飛び越えるためにYUKIは背中を蹴ったのである.
「だって,こうしないと勢いが~・・・あ・・・」
「はい,しばらく寝ていてね」
 私はぽんぽんと,2人に手刀を叩き込んだ.
「「きゅ~」」
「全てが茶番だけど・・・避けて通るわけにはいかないよね?」
「ええ.私は自ら望んで今こうしていますから・・・」
 私の問いにIXYが冷静に答える.
「貴女の目的は?」
「私に勝てばお話しましょう」
「じゃ,是が非でも聞き出さないといけないわね」
「私もThitoseさんに手ほどきしてもらってから鍛錬つんで,結構強くなったと思いますよ」
 微笑んで言うIXY.
以前に見た笑顔と全く変わらない,屈託のない自然な笑顔だ.
それを見ると,今こうしているのが何か夢の様な気がする.
だが,それは現実だった.
「いきますよ?」
 IXYはいきなり,バータ系の呪文で辺りに氷柱をいくつも作ったかと思うと,今度はフォイエ系でいきなり溶かし始めた.
辺りは猛烈な蒸気に包まれ,私達のいるステージは視界がままならない蒸気の半球体へと変貌した.
「・・・はっ!!」
 私は寸での所で頭上から落ちてきた落雷を避けた.
これはゾンデである.
(嘘でしょ・・・)
 頬をつたう汗は,なにも蒸気で蒸し暑くなっているだけではないことを自分自身良く感じていた.
まずい,これはかなりまずい状況だと,本能が告げている.
「うわっ!!」
頭上に左手をかざし,フィールドを展開して耐えた.
だが,いつまでも持つものでもない.
「どうしましたか?」
「そこっ!!」
 私は声の方向に向けてダッシュをした.
そう,遠距離戦は圧倒的に不利だからである.
「はぁ~!!!」
 私は右手のツインブランドに力を込めた・・・

「くくく,人とは面白い物ですねえ・・・」
 はぐはぐと食べながら白Poroは蒸気の塊と化したステージを眺めていた.
「おい,お前も手伝えって!!」
「へーい」
 いそいそと持ち場に戻るが,果たして?
「さて,これなら俺の勝ちはいただきだが・・・って,ふぇ,わ,ま,まずいって,ふえくしゅん!!」
 クシャミ一閃Masaの人格はお休みになって,本来の人格であるFennelが戻った.
「あ,あれ?一体これはどういう事でしょう?」
 いきなり目の前には作りかけの料理の山.
だが・・・
「そうですね.こういう状況は前にもありましたし,きっと作れと言うことですねっ」
 至極当然の様に納得するFennel.
うぅ,なんてお気楽なんでしょう.
あちこちで波乱を含みつつ試合は進行するのであった.

-終-