■ラグオル4姉妹 |
セントラルドーム跡からさほど遠くない森林地帯. と言っても,木々が生い茂っているわけではなく,平地と木々のバランスが取れた過ごしやすい場所だ. そこで私達4人は,つかの間の休息を取るために,1つの大木を背にしていた. 「あら?YUKI寝ちゃったの?」 「そうみたい」 ONPU(オンプ:ハニュエール)が言った様に,YUKIは私にもたれかかる様にして,すやすやと寝息を立てていた. 「しばらくは,寝かせてあげましょ」 Machildaの提案に, 「あ,悪いわね」 思わずそう答える私. 「全く,ホントの姉貴みたいだねぇ」 「そうね~」 「そ,そう?」 どうやら,昔の自分にもどりつつある事を自覚し始めていた. (昔はいつもこんな感じだったっけ・・・) 「見張っておくからThitoseもちょっと休めば?」 「ありがと,何かあったら起こして」 「はいはい,ちーちゃん♪」 Machiludaが茶化すのを無視して私は瞼を閉じた・・・ 懐かしい光景が浮かんだ.そう,これは夢だ. 幼い頃,私は今と違い明るく社交的な性格をしていた. 逆にYUKIは引っ込み思案で,いつも私の後をついて来たっけ. お互い,今とは逆だ.だが性格等,時が経てば変わって当たり前だ・・・ いつまでも純粋に生きていく事など出来はしない,いや,したいと心の何処かでは今でも思っている.だが,知恵がつき,人の心を知る事になればなる程,現実とのギャップに自己防衛の構えが否応無しにできてしまう. YUKIとの再会時も「Thitoseさん?」だった.それは当然だ,時は人の繋がりを希薄にさせる. 私も「YUKI・・さん?」等と言ったものだ. だが,少し前から幼い頃の呼び方で呼んでくれる事が多くなった. 変わってしまった自分を,少し取り戻した様な気がして嬉しかった. 人に求めたり,何かしたいと思うのは自分のエゴでしかない. 相手の状況を無視しての自己満足にすぎない. 小難しく考えるなと言う自分と,突き詰めようとする自分がここで葛藤する. 「ちーちゃんがユーシスやるなら,わたしネイやる・・・」 ふと目の前の光景に意識が行く. 「YUKIちゃんはぼくが守るんだよ~」 「じゃ,ぼくルツの役ね」 「それって寝てばっかりだよ~」 子供の頃に良く遊んだ面々だ.今はどうしているのだろう・・・ だが,ふと意識が戻って行った.条件反射とは怖いものだ. 「ねぇねぇ,マチ.みんなハニュエールだし,なんか4姉妹みたいだね」 「名作劇場でもできそう♪」 起きている2人が話をしている. 「でさぁ,あたい思うのだけど,Thitoseってこ・・・良いおねいさんだよねぇ」 「なにどもってるのよ,ONPU」 「だって,怖い人が薄目を開けてこちらを見ていらっしゃるので」 「・・言ってなさいな・・・」 私が起きたのに気付いていたとはね. 「ふぁ,あ~なんか良く寝ちゃった.ごめんなさい・・・」 YUKIも起きたようだ. 「ううん.構わないわよ.でももうお休みは終わりの様ね」 私が意識を前方に向けた,敵の気配だ. 「さて,いっちょやりますか」 ONPUを先頭に一斉に飛び出す. だが,私はふと立ち止まり,さっきまでもたれていた木を見つめた. (楽しい時間をありがとう・・・) コツンと手の甲で木を叩くと私は3人の後を追った. 「「「きゃ~」」」 早速悲鳴が聞こえる. ふぅ,この突貫メンバーの面倒を見るのは楽じゃないわね・・・ -終- |