ファンタシースターオンライン 攻略

■紆余曲折
「くののののの~~~!!!」
「とおおおおお~~~!!!」
 トトトトトと凄まじい音がしている.
一体何かと思えば超高速で動く包丁の音だった.
「は~い,次はこれね」
「「うらぁ,はよよこさんかい~!!!」
 MAIが次の素材を用意するや否や,IZUMIとMillicent:Gはお互いに負けまいと素材を受け取る為に手を伸ばしていた.
「MAIさん頭良いですね~,これで私達は初戦突破です」
 Sesilは両者が千切り(もしくはみじん切り)にした各種素材を集めて言った.
不毛なバトルを逆手にとって,MAIは包丁の扱いを提案したのだ.
単純(失礼)な両者は,互いに負けたくない一心とプライドだけで包丁で単純に細切れにするだけという,これまたある意味不毛な勝負を展開していた.
だが,料理をする気のないMillicent:Gはともかく,MAIとSesilにとっては,またとないチャンスとなったのだ.
「これわ・・・」
 MAIは細切れの一部を持ち上げたが,ぴらぴらぴらっと繋がっていた.
「大丈夫,食べたらわかんないですよ」
 とSesil.
しかし,なんでもかんでも細切れで構わない料理って一体?

(予想に反して俺様有利っ!!)
 FennelことMasaは,てっきり袋にされて負けると思っていたが,なんと白Poroがまっとうな料理バトルを提案してきた事をいぶかしみながらも,1人身で鍛えた料理の腕を振るっていた.
「誰が1人身だ,誰がっ.俺には喰わせるヤツがいるんだよ,ぷぷぷ,どうせお前にはいな・・ぎょわあ~~~!!!」
 フン,余計なお世話だ,このオヤジめ~.
矯正力パワーアップバージョンを喰らうが良い・・・
誰に言っていたのか判らないFennelは,天井から凄まじい数の物体に直撃されていた.
「良しっ,相手がひるんだ今がチャンスだっ,みんな,力を結集するんだっ!!!」
 REDは,いきなりボルオプト天罰モードになったFennelを見て,みんなに激を飛ばした.
「「「お~~~」」」
 だが,如何せん,料理なんてしたことないレイマーズの面々.
唯一,AMIは比較的まともだったが,それでも単体ではMasaに敵わない.
(むぅ,思わず本能に従ってしまいましたねぇ・・・オリジナルの影響を受けすぎるのも考え物です.ま,約束なんて反故にする為にあるような物だからして)
そう,白Poroはお腹が空いて料理と口走ってしまったのである.
だが,怪しい様子は微塵もみせない白Poroは,ひょいぱくひょいぱくと,AMIがせっかく用意した調理中の具材をつまんでいた.

「では,どちらかを選んでください」
「え?」
 審査員役のHARMONYとKOTORAの前に大きなナプキンと小さなナプキン(と言うより,前掛けであるが)が置かれた.
「私どっちでも良いよ~」
 KOTORAがそう言うが,HARMONYは,とても大きな前掛けをつける気にはなれなかった.
(・・・ただでさえ小さいのに,こんなのつけたら隠れてしまうよ.それに格好悪い気がする)
 と言うこともあって,小さいのを選んで着用した.
「わ~,何かいっぱいスロットついてる~」
「す,すろっと!?」
 KOTORAが着用して,これがただのナプキンと言うよりエプロンではない事に気づいた.
「では,次にこの中から自由に装着してください」
 次に係の者が出したのは,各種ユニットアイテムであった.
ユニットアイテムとは?まあ今更説明する必要もないが,ステータス補助や各種特技を取得する為の小型コンピュータ内蔵の支援メカである.
これは,専用のスロットに差し込むことによって機能する.
「・・・あ,あれ?」
 KOTORAが各種ユニットを嬉しそうにつけているので,HARMONYもつけようとしたのだが,どうやってもスロットは見あたらなかった.
「あ,あの~.これスロットないんですけど・・・」
「あ,それ番組の主旨なので,合ってますよ」
「主旨!?」
 思わず開いた口が閉まらないHARMONY.
「あれ?,もうすぐ何かでてくるのかな?」
 KOTORAのそれは,HARMONYにとっての死刑宣告に他ならないかどうかはまだ判らない.
あ,HARMONYの頭上に数字が・・・

「フン,なかなかの腕のようじゃな」
「おばさんこそ,やるじゃん」
 HELLIONとNAVEは,これこそ料理バトル?と言える熱戦を繰り広げていた.
「これくらい当たり前,当たり前,当たり前~~~!!!」
 NAVEが鮮やかな手つきで複数の鍋を操り,一瞬のうちに,焼き,炒め,油通しの3種の技を披露していた.
素材は,エビルシャークと,ポイゾナスリリーと,ブフィスライム.
「うぬぅ,絶妙な火通し,だが,リリーとスライムは一体・・・」
 HELLIONが唸っていると,
「にょほほっ,リリーは独特の刺激感を逃さない様に手早く炒めて封じ込める・・・.スライムは表面を綺麗にしつつ,あのふよふよとした触感を崩さない為に油に軽く通すだけっ.どう?料理漫画を読んで鍛えた技の数々!!」
「NAVEだけに鍋の扱いは上手いようじゃの」
「やかましかっ!!」
 NAVEが勝ち誇っていると,HELLIONも口端をニヤリと上げた.
「そうか,お主もアレを読んだ様じゃの・・・」
「な,なにぃ!?あ,あんたもまさか・・・」
「そう,なにもアレを読んだのはお主だけではないと言うことじゃ・・・」
 NAVEに一筋の汗がつたう.
「ああっ!!そ,それは!!」
「見るが良いっ,苦心して集めたこの業物の数々!!!」
 HELLIONがいつの間にか羽織っていたマントを,どきゃーんとめくると,7つの包丁が並んでいた.
「ま,幻と言われた戦士の7包丁・・・まさか,現存していたとは・・・」
「くくくっ,一説には全宇宙に4セットしかないとも言われるこの包丁.よもや披露する機会があろうとはのう・・・」
 HELLIONは,その中から1振り取り出すと,これまたいつの間にか茹で上がっていたカナバインを空中に放り上げた.
「ひょ~!!しゃうっ!!!」
 しゃき~んと閃光が走ると,カナバインに縦の筋が数本入り,ぱらぱらっとまな板の上に落ちた.
「この鋼鉄をも切り裂く切れ味・・・鋼鉄・・・鋼鉄・・・どうも切ってはいかんような気が・・・」
「今の内にっ」
 HELLIONが悩んでいる間にNAVEは追撃態勢に入った.
そのころ・・・
「うらぁ,お前等,諦めて逝っちまいな」
「・・・だ,だれか・・・助けて・・・」
 ますます元気なナル吉と,ますますしぼんでいくDainの2人?は,いまや風前の灯火と化したyamada3とNERVの前に立っていた.
「・・・お,お兄ちゃん・・・」
「い,妹よ・・・」
((俺(私)が助かるにはどうすれば良いんだろう?))
 お互い頭の中は違った様である.やれやれ.
「妹よ,俺が一撃必殺の攻撃をする時間を稼いでくれぬか?」
「いえ,そんなことしたらお兄ちゃんだけ逃げ・・・じゃなくて,そんな力はもう残ってないはずなのに,無理しないで」
「いや,お前を助ける為だ,俺の命なんて安いものだ」
「でも,だって,やっぱり・・・けど,お兄ちゃんがそこまで言うなら・・・私が攻撃するまでの時間稼いでね・・・」
「なにっ?話が何か食い違ってるぞ?」
 NERVは,起きあがってダッシュすると
明後日の方向に走り出した.そっちにはHELLIONがいる.
「あっ,こら,お前,ずっこいぞっ!!」
 yamada3も負けじと後を追いかけた.
「ふんふんふーん,喰らえっ!!」
 ナル吉は,べろんちょと,口を開けると薄暗い球体がぼわーんと2体に向かって飛んでいった.
そう,こやつはナルリリーの変異体のくせにメギドまで吐けるのだっ!!.
「「だわ~,助けて御館様~!!」」
「えーい,今は忙しいのじゃ,邪魔をするなって,うにょわっ!!」
 HELLIONは無視しようとしたが,背後から迫ってくる球体には流石に焦った様である.
「伏せろっ!!」
 yamada3とNERVは追いつかれそうになったので,ばたんと地面に伏せた.
「ちぇすと~!!!」
 HELLIONは,2体を追い越して飛んできたメギドを,ていっと包丁3振りで弾き返した.しかし3振りって?
「のわあっ」
 弾いた方向にはNAVEがいた.
NAVEもこれまた,鍋を使って,ばいんと弾き返した.
その先にはナル吉が・・・
「げっげっげ,おりょ?」
 ばふんと音がして,ナル吉の姿は見えなくなった.
そして後には光る球体が・・・
しばらくするとひゅーんと飛んでいった.どうやら場外メディカルルームの方へ飛んでいった様である.
「・・・封神?」
 別のステージにいるMAIが,ふと呟いた.
これはこの先の展開の予兆かどうかは判らない・・・

「ね,ねえ,KOTORAさん.かえっこしない?」
 HARMONYが,KOTORAに交渉を持ちかけたが,大きいのが気に入ったKOTORAはそれを離さなかった.
「早く食べたいね~」
(早く終わって・・・)
 HARMONYはすでに神様モードに入っていた.
それぞれの明日はどっちだっ!?

-終-