| ■お祭りの終焉・そして… |
「嘘!?」
NAVEが自分の死を覚悟したのはこれで何度目だろうか?
毎回なんとはなしに切り抜けて来たが,今回はベスト3に入るほどの戦慄を覚えた.
HELLIONとのバトルに気を取られて,目前に迫る高レベルメギドに気づくのが遅れたのである.
「わ〜〜〜何も悪い事してへんのに〜〜〜」
どうしてこういう時に口調がそうなるのかは永遠の謎である.
「斬!!!」
NAVEの前に躍り出る黒い影・・・それは両手で何か柄の様な物を構えると,瞬時に光の束がそそり立ち,巨大な剣の様な物になった.
そして一閃.メギドはまっぷたつに割れて観客席と政府高官のいるVIP席へと直撃した・・・.
当然ながら盛大に封神される皆さん.
「大丈夫な様だの・・・」
斬った主はHELLIONであった.
だが,がくりと膝をついて肩で息をしていた.
「ど,どうして助けてくれたの?」
NAVEが,極めて珍しく未だかつてない位真面目な雰囲気で聞いた.
「フン.気まぐれじゃ.気にするな・・・.妾とここまでやりおうた好敵手とこんな形で決着をつけたくはなかっただけじゃ」
「でもなんでそんなに苦しそうなわけ?」
「これは最後の太刀「形式零:タイプゼロ」と言う.人の心を力に変え,無から刃を生み出す業物じゃ.だが使用者の命を削る究極の剣・・・」
「これを握ると刃がでるのね・・・えいっ」
「はうぁ!!!」
NAVEがHELLIONの両手をぐっと握りしめると,柄から刃がヒュンと具現化した.
「うわ,凄い・・・えいえい」
「お,おのれ,やめぬか〜〜〜〜!!!!」
疲れて力の出ないHELLIONは,NAVEが握ったり離したりを繰り返すので,どんどん魂が削られて行く様である.
新たな歴史がここに刻まれようとしていた・・・合掌.
「・・・そんなに落ち込まなくても.ね?」
「うぅ,ぐすん,どうしてこうなるのよ・・・」
「あー,泣かないで」
先のメギドを止めに入ろうとした伊吹は,直前にこけて結局顔を赤くしただけに終わったのであるが,それをZai-onと7thがなだめている所である.
「伊吹.あいつを見てっ!!」
ステラが泣いている伊吹にそう言う.
「何よお?今ちょっとショックなんだから・・・って.え?あれはまさか・・・」
その先には片膝を地につけた白Poroと,意識が朦朧なFennelが対峙していた.
その他は地面に倒れている.
「くっ,ここまでの破壊力を秘めておったとはのう・・・我の膝を地につかせたのは主で二人目だのう・・・」
「ちぃ,あんにゃろ・・・俺が作りかけた料理をどうしてこうまで破壊的な味に仕上げてくれるんだ・・・」
白Poroは,メットを脱いで素顔をさらしていた.
Fennelは,レイマーズの料理を食べて意識がふっとび,今はMasaの人格がでていた.
「鼻が赤い・・・」
「ええ,きゃつは人ではないわよ.私達の時代のアレと同タイプな様ね」
伊吹がそう言うと,ステラも続けた
「何それ?」
好奇心旺盛なZai-onが聞く.
「通称コピーロボットよ・・・あれがこんな所にあるなんて・・・」
コピーロボットとは?持ち主の姿,性格を完全に真似て本人になりすます事のできる素晴らしいアイテムである.
欠点として,鼻が赤くて普通に考えるとバレバレなのと,長時間使っていると自我が完全に生まれ,制御不能になると言う点である.
どこぞの宇宙人が秘密の見習いヒーローの為に用意したのが起源だとかないとか・・・
(20世紀のヒーロー列伝より抜粋)
「どうやら面白くなって来たみたいだね」
最初にして最後の見せ場か?となんとなく感じた7thは気合いを入れた.
「くくく,その朦朧とした意識で我に勝てるかのう?」
白Poroはゆっくりと,だが,確実に立ち上がり構える.
今やFennelは風前の灯火である.
「ちぃ・・・こんな時に身体が思うように動かねえ・・・あいつらの料理も大概ひでえもんだな・・・」
逆に冷静になっていく自分に気がつくMasa.
「やらせはせんぞ〜!!!」
ヒアーカムズアニューチャレンジャー?
唐突に白Poroの前に立ちふさがる影.
「どけい,雑魚め」
「あいやあ〜!!!」
吹き飛ばされ,一瞬にして出番のなくなった人物.
一体誰だったのだろうか?
飛ばされた向こうには,ANIKIと書かれた名札のついたデコイ(かかしさん)が,ぽつんと立っていた・・・
「んしょ,んしょ」
「む,喰っている間に事態が急変しておるわい・・・」
味レイマー1号こと,Poroはついつい食するのに夢中になっており,本来の目的をやっと思い出した.
「コピーめ,もうすっかり独立しておるの.全く,泉の精があんなの持ってるとは思わなかったわい.仕事している時にアレに関する文献読んでなかったら捨て置く所だった」
そうなのだ.白Poroことコピーロボットは,泉の精のコレクションの1つだったのである.
倉庫にあったのを思わずいじってしまい,最初は自分の代わりに働かせたりしたのだが,いつの間にか何処か逃げたのであった.
「あれがスケープドールのプロトだとは未だに信じられんわい・・・」
「・・・く,どうやらあいつを止めるのが目的だったようだな・・・」
味2号ことALFAINは,毒がようやく消えたので復活した様である.
「ああ,世界の平和の為にもあやつは止めねばならん」
「すごく話が飛躍しているが,お前が2体もいると確かに迷惑だから俺も奴を全力で倒すぞ」
「なあ,仮にも同じ姿してるんだから,ちょっとは心痛めてね?」
Poroが聞いてみたが,ALFAINは全くもってお構いなしの臨戦態勢に入っていた.
「さあ,偉大なる我等の主の到着はすぐだ.お前はその前菜に過ぎぬよ」
白PoroがFennelにとどめを刺そうとする.
「まてい!!」
「なにやつ?」
「お前のオリジナルだ」
「味レイマー2号見参!!!」
・・・・
はっと我に返るALFAIN.1号はとっくに(何時の間に?)Poroの状態に戻っていた.
改めて自分だけ味レイマーな格好でいる事に気づく.
「うっわ〜恥ずかしか〜」
衣服を脱ぎ捨て辺りを走り回るALFAIN.
しばらくは混乱状態である.
「ほう,誰かと思えばできの悪いオリジナルさんか」
「お前は我と寸分違わぬはずだろうが〜!!!」
やはり双方同じな様である.
「えいえい」
そのすぐ隣り・・・
「ああ〜,HARMONYさんが〜〜〜」
がくがくとHARMONYを揺さぶるKOTORA.
か弱いHARMONYの精神は,ここに来て現実逃避を選んだのか?さっきから意識が朦朧としていた.
「・・・う,うぅ・・・もう食べられない・・・がくっ」
HARMONYの意識は途切れた.
「心臓マッサージしなきゃあ」
わさわさとHARMONYのお腹を押すKOTORA.
そこは胸でないのだが,小さなHARMONYの身体なので間違えて押していることに気がつかない.
「・・・げ,げふぅ〜〜〜ひゃ,ひゃめて・・・・」
流石に吐き気と共に目を覚ますHARMONY.
「やったあ.目が覚めたね〜」
まあ目的は達した様なので良しとしよう・・・
「強くなったね・・・」
「おかげさまで・・・」
私とIXYは対峙してお互い笑っていた.
もうほとんど力は残っていない.死力を尽くした結果である.
先にツインブランドで斬りかかったが,よく考えるとそんなことできるわけもなく,結局無難な戦い方で互いに攻撃していたのである.
でも,よく考えなかったら斬っていたかもしれないのはこの際棚上げしておくことにした.
「でももうぼろぼろですよ」
お互いの衣服はかなり破れて,結構危ない状態だったのである.
「どうやらここまでの様だけど・・・」
「そうですね」
私達は,不意にとてつもない気配を感じ,そちらに意識を向けた.
「ふう,あと少し・・・」
「ちゃちゃ〜ん,最後の最後でリコちゃん登場〜!!!」
既に会場はパニック状態なのであるが,いきなりとんでもない展開になった様である.
唐突にその場に現れたリコは・・・鼻が赤かった.
「おぉ,リコ・・・」
涙ぐむ総督.って本人じゃないの気づかないかっ!!
「リコ殿.我らが主の全権代理者である貴女が来たからには例の準備は出来た様であるな」
白Poroが言う.
「そーゆーこと.だから茶番はおしまいよん」
不敵に笑う似非リコ.
「一体どうなってるんだ?」
流石にPoroも展開についていけていない.
「ようこそ,ラグオルへ.招かれざる客だけど,我らが主にとっては復活祝いの丁度良いごちそうなわけ.だからみんな大人しく料理されちゃいなさい」
似非リコはパイオニア2全域に向けて放送を流した.
すでに通信系統は押さえられていたのである.
しかし,その直後にバックアタック!!!
「命獲った〜!!!」
SesilとMAIが不意打ち攻撃を敢行したのである.
事態の重大さに気づいた2人は見せ場も兼ねて共闘したのである.
「嫌〜.お父さん助けて〜!!!」
「はいや〜!!!リコをいじめる奴は儂がゆるさん!!」
「「なんで〜!!!」」
リコ父のストライカー攻撃によって吹き飛ばされる2人.
「リコ,大丈夫か?」
「うん,ありがとう〜」
リコの横に立つ総督.既にリコしか見えていない.親馬鹿も極まると駄目すぎである.
「ふふふ,貴女の悪さもこれまでよ.教授.ハイパージャマーのスイッチ入れて」
「了解」
いきなり伊吹がそう言うと,会場のあちこちにセットされた機械から電子装置を狂わせる特殊なノイズが発信された.
「ぐ,こ,これは・・・」
敏感に反応する似非リコと白Poro・・・と忘れ去られているが,しっかりいるボルオプト(yamada3&NERV)とZai-on.
「ふっふっふ,さっきから時折聞こえた声は私なのよ.いきなりやると信じてもらえないもんね.それにコピー対策は私の時代で完全にできてるんだから」
そうだったのか.さきほどから段落の合間に聞こえた声は伊吹の物だった様である.
これはビックリだ.
「うぅ,7ちゃん・・・俺はもう駄目だ.だが俺の身体を身にまとってくれないか?」
「何を言うんだ,しっかりしろ!!」
Zai-onはかなり芝居かかっているが,7thに遺言の様に話していた.
どうやら7thをフルアーマーにしたい様である.
「「た〜す〜け〜て〜」」
暴走するボルオプトと中にいるyamada3とNERV.
どうやら止まらない様である.
「ちちぃ,よもやこのジャミング対策が完璧なこの時代に通用する代物があったとは〜」
リコが片膝をついて唸る.
「世の中の技術革新はそうやって進むんだから・・・」
「伊吹.我々は過去の技術ですよ・・・」
「せっかくしゃんとしてきたんだから水差さないでよ〜」
過去のヒロインと言えども所詮は子供,可愛いものです.
「仕方ない.どうやらお約束になるのは避けられない様ね・・・これを見なさい」
突如空中に映像が映しだされる.
「あ,何処かで見たような〜」
皆が目にしたのは,周りが溶岩の中にぽつんと浮かぶ円形の競技場や,5階くらいありそうな不気味な塔.それに,水上や,空中など,ありとあらゆる舞台が映しだされていた.
親切なことに全体図や,火時計や砂時計まで設置してある始末である.
「でもどうしてこれはジャミングの影響受けな・・はわわ〜」
どきゃっと天井からの物体に直撃される人ありけり.
伊吹もついに矯正力の餌食に・・・合掌.
「理由はどうあれ,メンバー選抜して私達と勝負しなさい」
リコが高らかに曰う.
「すげー無茶苦茶・・・」
ALFAINがようやく通常に戻った様である.
「それに,我らになんのメリットが?」
Poroが言うのももっともである.
「それは.ただの愚民を食した所で主は喜ばないからよん〜」
「うわ〜でたよ,7ちゃん.やめときゃいいのに,わるもんは必ず余裕ぶって負けるの図を正に歩んでるよね」
「しっ,しー!!!」
余計な事を言うZai-onに7thが口止めするが,アフターカーニバルなり.
「お前等夕飯の付け出し」
今まで大人しかった観客達が突如サングラスをつけたと思うと謎の戦闘員になり,2人を拘束した.
「な,なんでやねん,うちら悪い事してへんで〜」
今喋ったの誰やねん・・・
おっと逸れたしまった.
「やれやれ,観客もほとんどが既に籠絡されていたと言うわけね」
私がため息をつく.
「かといって,このままでも困りましたね」
IXYが小首を傾げる.
そんな余裕あるの貴女だけだよ・・・
そうしていると,また別の画面が映しだされた
「「「「た〜す〜け〜て〜」」」」
「あ,あれは!!」
知ってる人は知っている,Rinoa,ONPU,Fi-na,EVEの4人であった.
EVEは温泉を餌に各地を転々と探索していたが,こないだ見つけた遺跡の奥地で「大魔王封じ」と書いたお札の張られた機械を誤って?操作してしまい,そこからでてきた似非リコ達に捕まったのである.
「ご,ごふぅ,わ,私はもう駄目・・・だ,だけど,この状況を誰かに伝えなければ・・・」
「うわっ,き,汚っ!!!あんた,何回人の服に血つけたら気が済むの〜!!!」
「あ〜おなか空いた〜」
「はらはら,正義の味方もここまでなの?」
結構大丈夫な様である.
「こいつらも一応助けたかろう?」
リコが聞いてみる.
「え?映像入ってる?カメラどこ?・・・・は,はい.こちら諜報員EVE.現場より報告します.現在,我々は大昔の悪者カルト集団,ダークファルス党なる組織に拉致監禁されています.ですが,我々には希望があります.それは,パイオニア2には優秀なハンターズがいることです.さあっ,今こそ立ち上がれハンターズ.無駄飯喰らいでないならば今こそ示せその力っ!!・・・うっ.ご,ごほごほ.わ,私の命が例え尽きようともここの3人が意志を継いでくれるはず・・・さあ,立てよ国民諸君等の力を国家は今こそ必要としているのだ〜きゃう」
「「「やかましか〜!!!」」」
3人に蹴られてカメラにぶつかるEVE.
画面には唇がたらこになったEVEが映ったあと,画像は途切れた.
「なんか大丈夫みたいなんだけど・・・それに自分から白状する諜報員ってのもね・・・」
「ま,まあ兎に角,待ってるからちゃきちゃき来るのだ〜」
「うぬとの決着預けた・・・」
「むぅ,儂も行くぞ〜」
どもりながらリコと白Poroとその手下達は一斉に引いていった.
すでに壊れた総督もついていってしまった.
後には状況を把握できない精神のまともな人達と,なんでも受け入れるバイタリティ抜群のハンターズ達・・・
「どうやらタダの惑星ではなかったのがここに来て判ったってことね・・・」
「どうします?座して滅ぶわけにはいかないでしょう?」
IXYの問いに対する答えはもちろん1つしかない.
「そうね,やるだけやりましょう」
私はこんな状況でも平気なハンターズの連中を見ていると,どんな相手にも負けない気がした.
苦笑していると,みんな集まってきた.
「さーて,面白くなって来たね」
「こ,これ以上食べて死を見るよりはるかにマシです・・・」
「私も頑張るよ〜」
「あ,大分刃が小さくなってきた・・・」
「・・・や,やめれ・・・」
みんな全く平気である.
「とりあえず腹ごしらえしないと戦えないぞ」
Fennelが鍋を片手に料理を作り始めていた.
「それじゃ一丁やってみましょうか」
「おー!!!」
こうやってラグオル奪回制圧作戦(いつのまに!?)は発動された.
危機的状況でもくじけない強さは武器だと後世の歴史家が語る様になるのはまだまだ先のことである.
−3章完− |
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