| ■各々の思惑をよそに |
「・・・あの,私達の出番まだですか?」
RinoaがFi-naに問う.
「アレに言ってよ,アレに」
Fi-naは前で素振りをしている人物を指差す.
「ふふふ,素晴らしいぞぉ,この力〜」
ONPUが,新品の武器を振り回して喜んでいる.
この面子,一体何をしているかと言うと,援護要請があるのを待っているのである.
大会には競技参加者の他に,競技者を支援する部隊も募集され編成されていた.
平たく言うと,参加者だけだと手持ち無沙汰な連中が多いので,こうやって参加させる形をギルド側がとったのである.
後方支援はもとより,不慮の事故に備えた遊撃部隊の1つとして,この3人は申請していた.
が,出番は今のところないようである.
実は,遊撃部隊と言うのは,正式な部隊の呼称ではないのをご存じだろうか?
部隊は,小隊から始まり,中隊,大隊となり,旅団や師団,最大では軍団と呼称されるのが古来よりの定説であり,他に変わる呼び方もないので現在まで使用されている.
(個々の時代や国において,細かな派生部隊は除く)
とは言え,実戦において個々の集団が,その能力を長期間維持しつつ行動することはありえない.
そこで,単体としては機能しない集団を再編し,他の部隊の支援をする部隊を遊撃部隊と呼称する事が起きたのである.
(最初から独立した陽動部隊という位置づけもありえる)
要するに,応援部隊としてあちこちに派遣される,非正式な部隊と思ってあまり違いはないかと・・・
だが,戦争があった時代ならいざ知らず,国と言う概念自体が意味をなさない現在において,これらの知識は形骸化したものに他ならない.
軍自体も仮想敵とのシミュレーションしか行われていない為,実戦能力自体はハンターズギルドの方が上という見方も多い.
と言うのは真面目な所の話であって・・・
どうやら,パイオニア2のギルドメンバーはお気楽連中がほとんどの様である・・・
「あ〜もう.こんなことなら競技に参加すれば良かったかなぁ・・・」
Rinoaは料理にあまり自信がなかったので,参加しなかったのである.
駄菓子菓子,一体何人がまともに料理と言う物を知っているのだろうか?
真面目に悩んだRinoaには悪いが,あまりいないかと・・・
「おーい,ONPUー.コーラ買って来て・・・」
「なんで?なんであたいがそんな事するの?」
「この前賭けしたっしょ」
「過去に捕らわれない人だから,そんな事知らない・・・」
「ほほう,それが仲間に対して言う言葉なのかな?」
Fi-naが戦闘態勢に入る.
「仲魔の間違いでは?大体,細かい事言うのは嫌いだよ・・・」
ONPUもデフコンレベルを上げた.
「いい加減にしてっ!!」
ピシャーンと言う音と共に,Rinoaのギゾンデ炸裂.
「「はい・・・」」
ぷすぷすと煙を吐きつつ,一応落ち着く2人.
どうやら,このメンバーには早く舞台を作ってあげないと駄目な様です.
あ,そうそう,パイオニア2内では原則テク禁止なので気をつけてね・・
「あんた何やってんの?」
NAVEが物々しいDainの格好を見て言った.
「いやぁ,ちょっとね・・・」
Dainは,背中にたくさんの武器を詰めた袋を背負っていた.
それはまさに,1000本目の武器を求めて,どこぞの橋の上で小さな子供と対決する不良坊主と見まごうかと言う位である.
「それ何?そんなに持って何処行くの?」
「今,ロビーに鑑定士が来てるって言うからね.俺のアギトを鑑定してもらうんだぁ」
「ふーん,面白そうだからついて行こうかな」
Dainは自他共に認めるアギトマニアだったのだ.
フォトンを利用しない純粋に鍛えられた刀身は,確かに武器として最高の品の1つと言えよう.
質実剛健,そんな言葉が似合う.
(これで,俺も超変身できるかなぁ?)
どうやら,理由がとってもつまらない様な気がするので,ここで留め置こう.
場所は変わり,鑑定士の所
「じーさーん.これ鑑定してよ」
「むお?これまたたくさん持ってきおってからに・・・.信用しなくてもお金は頂くぞ?宜しいな?」
「いいよ」
「では,しばし待たれよ・・・」
刹那,ちゃーちゃーちゃーちゃららら〜とか怪しいBGMが聞こえたかと思うと,鑑定は全て済んでいた.
はやっ.あんた何者?
「で,どうなの?」
NAVEも気になるようだ.
「こ,これは・・・偽物ばかりだの.残念ぢゃが」
「そ,そんなことないって,鑑定もう一度やってよ」
「構わぬが,先払いぢゃぞ」
「うん」
またもや,ちゃーちゃーちゃららら〜と鑑定が済んだ.
あれ?音少ないね.手抜きですかぁ!?
「むぅ,偽物ぢゃ・・・」
「もう一回やってよ」
「構わぬが,いつもニコニコ現金払いぢゃ」
「うん」
3回目,ちゃーちゃららら〜・・・・ってもう何も言いません・・・はい.
「やはり・・偽も,ごほぅ」
「アホかいっ!!一度やれば判るって!!」
NAVEの蹴りが鑑定士を直撃する.
「駄目だよ,NAVE.乱暴だなぁ.きっといつかは本物になるって」
「なるかぁ!!」
NAVEの蹴りがDainに炸裂.
「痛てて,もう,落ち着きなよ・・・あ,そうだ,ねえねえ偽物でも敵をいっぱい切れば本物になるよ」
「どうして?」
「敵をたくさんおろすんだよ,3枚とか4枚に・・・これがホントのオロチ(おろし)アギト・・・ぎゃふー」
よもや説明はいるまい.
「・・・あんたと組んだ私が馬鹿だったよ・・・」
NAVEが肩で息をしつつ嘆いた.
いつか良いことあるさっ・・・
「・・・そうか,継続して調査を頼む・・・」
パイオニア2艦橋内では未だ慌ただしい動きがあった.
(このまま行くはずもないと言うことか・・・)
総督,もとい長官は,憂鬱な目で眼下に広がる惑星を眺めていた・・・
−終− |
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