■男の尊厳(笑) |
今,1人の少女を賭けた,熱い?もとい,己の欲望の為に戦う男達がいた・・・. 何時の世もこーいうのは後を絶たない,君達自制しなさい. では,状況説明に入るとしよう. 「ヤツとの戯れ言は止せっ!!」 REDが言い放つと同時に左にスライドしつつ,銃を連射する. 何故左かって?右利きの多いこの世界.盾でカバーできる範囲は自ずと自分の左側に限られる. 下手な攻撃は軽く弾くシールドが普及しているこの時代に限らず,相手の死角に移動するのは何時の時代でもセオリーである. 「ほぅ,正確な射撃だ・・・.だが,Poroとは違うのだよ,Poroとはぁ~」 事の発端を担っているTAISUKE(たいすけ:レイマー)がフっと上半身を傾けるだけで軌跡をやり過ごす. 「誰が黄色だぁ~」 Poroは黒いレイマーだが,青レイマーのTAISUKEが仲間になって以来,そういう噂が何処となくでてきていた. 別に攻撃されているわけではない,皆,強いヤツを先に倒すという判断のもと,初期目標から外しているだけである. 「天国のじっちゃん.見ててくれ,俺はやるぜー」 最近めっきりたくましくなったALFAINが燃えている. 「ふっ,この不死鳥の様な俺様に勝てると思っているのか?」 いつの間にか頭から血をどくどく流してCzmが言う. どうやら,一番手強いと判断されて,一番最初に集中砲火を喰らったようだ. よく死なないね~.まあそれもそのはず,訓練用の模擬弾使ってるんだから・・・.でも当たると痛いよ. 地面にはトリメイトの容器が転がっている・・・あらあら. 「はぁ,私って罪なお・ん・な~ですー」 「そ,そうね・・・」 AMIのうっとりした表情を見て,Thitoseは嘆息した. AMI(あみ:フォニュエール)はTAISUKEが連れてきた少女である. 何時の間にかレイマーズにうち解けて,しかも仲間に入りたいですーとかいうことに・・・ 止めた方が良いよ,という周囲の良識ある忠告を無視し,彼女は晴れてレイマーズのマスコット?もとい,マネージャー的存在となった. (以下フィクション) 「あ,私,選手にはなれませんけど,みなさんのお手伝いがしたいんです・・・よろしくお願いしますー」 という,数世代前の,さわやかすぽおつ漫画の1シーンにでもでてきそうな場面を想像して頂きたい. (フィクション終わり) フォニュな時点でレイマーズではなくなる?様な気がするのだが,己の欲望の為には些末な定義など消し飛ぶものだ. 「見習い隊員ということで,いいよなっ」 REDの意見に反対する者は,今回に限っていなかった・・・おいおい. まあ,暗黙の了解で境界線を引いていられるのも最初の間だけ. 今や,全員が仮想敵として認識されていたのだが,つい先程戦端が切られたのである. 「しかし,この後どうするの?」 私はAMIに聞く. 「え?何もしませんよ.だってみんな好きだもん.選べないです」 これは体の良い断りでは?とか思わないでもなかったが, 無邪気な笑顔を見ていると,たぶん本気なんだろうなと苦笑するしかなかった. (ま,あの連中にはこういう娘が丁度安定剤になって良いのかもね) 何はともあれ,仲間が増えるのは良いことだ,それが例え一時的な物だとしても・・・. 端で見ている2人に近づく人影が・・・. 「あ,やっほー2人共~」 「あ,IZUMIに,MAIじゃないの」 「「こんにちは,Thitoseさん」」 AMIと私が,2人の少女に声をかけた. IZUMI(いずみ:ハニュエール)とMAI(まい:ハニュエール)である. AMI,IZUMI,MAIの3人は年も体型も近いせいか,仲良くやっていた. (なんか,託児所みたい・・・) がたいが大きくても手のかかるレイマーズ,身体も小さくて,見ててあげないとちょっと不安?なこの3人を見ると思わずぐっと老けてしまう・・・. (私,まだ若いんだけど・・・) とは言う物の,それほど真面目に心配しているわけではない. なんと言ってもギルドに登録されたハンター達なのだから・・・ 大丈夫,たぶん・・・きっと・・・ね. 「「「じゃあ,買い物してきます~」」」 「あ,ああ行って来ていいよ」 私が3人を見送った刹那, 「くっくっく,喰らえ~,必殺ギガクラッシュ!!」 「「「「ろっぱ~」」」」 「な,なに?」 私は驚いて訓練所を見た. 土煙の巻き上がるなか,Poroの足下に全員倒れていた. 「う,嘘でしょ」 「くくく,チミ達,俺をなめてはいけないね・・・俺が一番さっ」 Poroがちっちっちと指を振る.全然似合ってないって・・・. 解説は後日に譲るとして,Poroは私の所へやってきた. 「あねご~,AMIさんは?」 「あ,そういやみんなと買い物行ったけど・・・」 「はぅあ」 Poroが嘆くのも無理はない,今回の勝負はAMIと一日デート権(当日限り有効)だったのだ. 相手がいなければそれもできない,しかももう夕方だ. だから勝てたのだろうか?そうだとすると神様とは本当にいるのかもしれない・・・. 「じゃあまたね」 灰色になったPoroを後に私はその場を去った. -終- |