■手料理も程々に |
「こちら,レイアー小隊.本部応答せよ・・・」 男は,通信機に幾度となく呼びかけたが,返ってくるのは虚しい雑音(ノイズ)のみ. 「お前達っ大丈夫かっ!!」 男は,周りにいる3人の連中に呼びかけた. 「た,隊長・・・」 「どうしたっ!」 「いい加減やめようよ.「男の散り際,格好良く行くぜ作戦」なんて・・・」 「そうだよな・・・経緯を語ると泣けてくるし・・・」 他の男からも賛同の声があがる. 「・・・はぁ,確かに疲れがどっとでてきたな」 隊長と呼ばれたREDはふと嘆息した. 一応,解説しておくと,RED,Czm,ALFAIN,Poroのレイマー4THであった. FORCEと4THをかけただけであるが・・・ それはさておき,彼らは今まさに最後の時を迎えようとしていた. 以下,回想シーン・・・ 「え?それでは材料を獲ってきて貰えるのですね♪」 IXYは喜々として4人に言った. 「えぇ,我ら,食の道を探求する者なれば.美食の為には労を厭わぬ所存なり」 Poroがずずいっと前に出る. ((おい,獲ってって何?取ってじゃないのか!?・・・)) CzmとALFAINが顔を見合わせて真意を読みとろうとした. 「俺は忙しいから」 REDは武器の手入れをしていた. 「そ,そんな・・・.ひどいです・・・」 IXYのターン.IXYは相手に対し,難易度11の精神攻撃!! 「うっ」 REDの対抗判定.2d6で目標値以上をコロコロ・・・失敗. 「泣ーかした泣ーかした」 Poroの追加攻撃.REDは行動不能となりました. 「わ,判りましたよ.もう,IXYさんにはかなわないな」 ((良いのか?これってありなのか?)) CzmとALFAINはシンクロしている様だ. だが,彼らが真の恐ろしさを知るのは後になってのことであった. IXYはここ最近料理に凝っていた. 確かに,フォマールがフライパンを振る姿は可愛い.それはもう. 知らない人は近くのフォマールにフライパン貸して振って貰いましょう. だが,今回の料理の材料は洞窟最深部に行かなくてはならなかった. 名前も,「レアデ・ロールキャベツ・アサシン煮込みリリー添え」だそうだ. 想像するだけで,お腹が混乱しそうである. かつ,このメンバーの事,軽く考えて探しに出たはいいが,色々なアクシデント(省略)にて装備をほぼなくし,帰還手段及び,携行食糧もそこをつきつつあった. で,どうせなら格好良く散ろうと寸劇をやったのだが,カロリーを無駄に消費するだけだった様である. 「RED.隊長なんだからなんとかしてよ」 Poroがもう駄目だと言わんばかりに寝そべっている. 「言い出しっぺお前だろ.死んだら化けてやるからな」 「あ,ポケットにチョコレートみっけ」 「「「何!!!」」」 言ってからしまったとALFAIN.お人好しですね. 「よし,隊長命令だ,供出したまえ」 おいおい,さっきと違うぞRED. 「「だな,隊長の言うことは絶対だ」」 CzmとPoro.良い仲間をもって幸せだね. 「隊長は赤いから3倍動いてくれるなら良いですよ」 ALFAINが最後の抵抗を試みる. 「お前等だって黒が3人も揃ってるんだから,なんでもできるだろ」 隊長,何か違うよそれって・・・ だが,埒があかないので,平等に分けようと言うことに・・・ 「じゃあ,ここは公平に俺が4つに分けるぞ」 一応,もっともらしい事を言うRED,流石隊長だねっ. 「「「あっ・・・」」」 「う,うむ.一応4つだな・・・」 見事に形の揃わない,というかここまでばらける物なのか!?目の前のチョコはすべて大きさが違っていた.やはり前言撤回. 互いに動きを読もうとする面々.先の先を行くほど互いに体力は残っていない. リスクを避けるなら後の先にて相手の虚をつくしかない. (くくくっ,ここは一番備蓄燃料の多い俺が有利っ) Poroが己の体格を久方ぶりに誇っていた. (まずいな,持久戦は俺に不利,かといって先に動けるか?) Czmが油断なく目を配る. (あーあ,母さん,ご免よ.俺駄目かも) ALFAIN,もうあきらめるのか?最悪,1つは口に入る・・入るだろう,い,いやきっとね. (ちぃ,ここはやはり赤の威信に懸けて3倍でって行けるわけないだろ・・・) REDはそう思った,だが,ふと後方で何かの気配を感じた. 「お,おい.それどころじゃないぞっ」 「「獲ったぁ~」」 PoroとCzmが,REDとALFAINの意識が散漫になったのを見逃すはずもなく,ダッシュをかけた. 「あらあら,みなさん大丈夫ですか?」 なんとIXYがそこにはいた. 「「「いふひーはん?」」」 いつの間にかALFAINも混じって取り合いをしていた. それでこそ男だ. 「いえね,いつまでも帰ってこないので探しにきました.フフフ・・・」 「た,助かった・・・」 REDは安堵の声を漏らす. 「では休憩したら行きましょうね」 「「「「え?」」」」 彼らには逝きましょうとしか聞こえなかった・・・. -終- |