■ハンター達の日常 |
私は今,パイオニア2のハンターズギルドロビーにいる. 何か依頼がないか見に来たのだ. ラグオル調査は今回とは全く関係ない.あれは依頼と言うより指令に近いものがある. まあ,有事の際,役に立つ為にハンターギルドが今回の招聘に加わったわけだが. 普段は,ギルドからの大なり小なりの依頼を稼ぎとしてこなす者も多い. そんな中,私の番が回ってきた. 「もう少し,スムーズに処理してほしいわね」 「そう言わないでよ,貴女はまだいいけれど,アレを受けてない人はこちらで稼ぐしかないんだから」 私が,受付の女性に不満を漏らすと,苦笑しながら何やら耳打ちしてきた. 「Thitose.貴女に調べて欲しいことがあるの.ある案件で派遣したチームの1つから連絡がないの,依頼は期間が決まってあるから,もう連絡があっていいはずなのよ・・・」 「迷子の捜索?」 だが,リューカーや,テレパイプを持っていないはずはないだろう. それが使えない場所もあるにはあるが・・・ 「そうとは言わないけど,ラボのお世話になるかもしれないし・・・」 ふぅ,と私はため息をついた. ラボと言うのは再生施設の大昔の呼び名で,正式にはクローンラボ.要するに私達が死んだ場合の・・・ね. パイオニア2にはその為の施設が用意されている. ハンター達の生存率,と言っていいのか,を上げる存在である. その人物の細胞1つあれば再生可能がウリである. だが,確実ではない.特に遺伝子操作で生まれた私たちニューマンは,再生できない場合が希にある. それに,記憶が曖昧になりかねない.自分が何回死んだかなどあまり知りたくないものだ. 「判ったわ.これは個人的に貸しにしておいてあげる」 私が了承すると, 「そうね.じゃあ,今度飲みに行きましょう」 安いものね,と苦笑しながら私はその場を後にした. 言われた案件の場所についてからしばらく捜索してみたが,誰も見あたらなかった. そうこうするうちに,備え付けの大きなゲートを発見した. 「これは,以前にも見た形・・・と言うことは・・・」 戦いに備え,意を決して入った・・・のだが,目の前には信じられない光景が広がっていた. 3人だろうか?背後には動かないドラゴンが見える. どうやら事は済んだようだ.問題はそれではない. 「あれ?姉御じゃないですか.一体どうしてここに?」 「あ,Thitoseさん.どうですか?お肉焼けてますよ」 「誰ー?あの人」 PoroとIXYとあと見慣れない者が・・そういえば依頼の資料の写真に似ている.どうやらその人物の様だ. 「って,それはこちらの台詞!!.何やってるのこんな所で」 「あ,こちらのKinina(キニーナ:ハニュエール)がドラゴン倒すの手伝ってたんですよ」 「ええ,なかなか手強くて,でも楽勝でしたよ」 IXYがフライパンを片手に話す.どう手強くて楽勝なのか,あえて聞かない事にした. 私は肝心の人物に話しかけた. 「始めまして,私はThitose.貴女を捜しに来たの」 「あ,そっか,連絡入れるの忘れてたよ.あははっと,私はKinina.宜しくね」 背丈は私よりかなり低い.だが,腕は結構立つ様だ.陽気な中にも隙がない. 「こいつは,私が目を付けてたから,他の人に獲られたくなくて,頑張ったんだけど,食料なくなってお腹すいて動けなかったの」 陽気に話すKinina.案外平気なのかもしれない. 「そうする間に私達と出会ったんですよ」 「そうそう,姉御にも俺の活躍見て欲しかったなぁ~」 Poroが腕をぐっと突き出す. 「ふぅ,じゃあ連絡入れるわね」 「Thitoseさんも一緒に食べませんか?」 IXYに薦められて,私は断る理由もなかった. 普段は簡易の携行食糧しか食べられない.野外?で料理を頂くと言うのも悪くはない. (まあ,代金が飲み代だからこの位楽でも罰は当たらないか) 苦笑して私は座った. 「あ,Kinina,その肉俺が狙ってたのにー」 「ふーんだ.Poroはちょっとダイエットしたほうがいいんだよー」 「まあまあ.いくらでもありますよ」 そう言って後ろの山を指さすIXY. 「え?」 ま,まさか,その肉って退治したこいつのこと・・・ 私は,ラボの世話にならないよう祈るだけだった・・・. -終- |